コロナ禍で変容した世界貿易

感染症対策・在宅勤務特需で世界輸出総額における中国シェアが拡大

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2021年02月04日

  • 経済調査部 エコノミスト 小林 若葉
  • 経済調査部 エコノミスト 岸川 和馬

サマリー

◆2020年の世界の財貿易は、新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う世界各国のロックダウン等によって大きく縮小した。一足早く経済活動が再開された中国では各国の生産を代替したことなどにより、世界の輸出総額における中国シェアは大幅に高まった。多くの国では供給体制が回復傾向にあるものの、中国のシェアは感染拡大前より2%ptほど高い水準を維持している。

◆米欧では主に航空機関連製品が輸出額の減少に寄与した。半面、中国においてはマスク等の感染症対策に関連する財や在宅勤務に不可欠なパソコンなど、コロナ禍で特需が発生したとみられる品目が輸出の拡大に寄与した。中国の感染症対策関連財輸出はこのところ緩やかに減少している一方、パソコンやその周辺機器は底堅く推移している。在宅勤務等のテレワークの拡大・定着などを背景に中国の同品目の輸出は底堅さを維持し、輸出全体を下支えするだろう。

◆日本の輸出額も欧米ほどではなかったものの、印刷機や航空機関連製品を中心に輸出額が減少した。日米欧においてコロナ禍で減少した品目の輸出は、ワクチンの普及で新規感染者数の明確な減少が見られるようになれば回復基調が強まり、輸出全体の底上げにつながろう。

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