サマリー
◆2020年3月の全国コアCPI(除く生鮮食品)上昇率は前年比+0.4%と前月から0.2%pt低下し、市場コンセンサス通りとなった。減速の主因はエネルギー価格の下落であり、これにより0.13%pt押し下げられている。物価の基調を示す新コアコアCPI(除く生鮮食品、エネルギー)上昇率は同+0.6%と前月から横ばいだった。
◆品目別に見ると、「宿泊料」や「外国パック旅行」の前年比マイナス幅は縮小したが、これは春節の日並びの影響が剥落したためである。両者とも依然として前年比マイナスで推移しており、新型コロナウイルス感染拡大に伴う需要減少の影響が見られる。他方、原油安を反映した「ガソリン」「灯油」や、国産牛肉の価格低下などが影響した「生鮮食品を除く食料」は前年比プラス幅が縮小した。
◆先行きの全国コアCPIは、早ければ4月に前年割れし、その後もマイナス圏で推移するとみている。新型肺炎感染拡大に伴う世界的な活動制限・自粛を背景とする需要の減退により、日本経済は急速に悪化する見込みである。マクロの需給バランスの悪化に加え、原油安によるエネルギー価格の急落が物価を下押ししよう。
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