サマリー
◆6月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比+0.6%と前月(同+0.8%)から減速し、市場コンセンサス(同+0.6%)通りの結果となった。ただし、減速の主因はエネルギー関連項目の低下であり、物価の基調には変化が見られない(新コアコアCPIは前月と同様、同+0.5%)。
◆品目別の寄与度の変化を確認すると、「宿泊料」や「持家の帰属家賃」等が小幅に押し上げた一方、「ガソリン」、「電気代」、「通信料(携帯電話)」等は押し下げた。「ガソリン」は原油価格の下落を受けて値段が下がったことに加え、前年同月にガソリン価格が上昇した裏の影響が出たことで、低下幅が大きかった。また、「電気代」に関しては、4月以降、電力大手10社全社で値下げが続いている。「通信料(携帯電話)」については、NTTドコモとKDDIが6月に最大4割安くなる新プランを導入したが、同項目の低下幅は僅かなものに留まり(前月比▲4.8%)、影響は限定的であった。
◆先行きの全国コアCPIは前年比0%台半ばで推移するとみている。当面の焦点はエネルギー価格だが、国内の動きに関しては2019年10月以降の特殊要因に留意しておく必要がある。特殊要因がコアCPI(前年比)に与える影響について機械的に算出すると、2019年10月に実施予定の消費増税は+1.2%pt、軽減税率制度は▲0.3%ptである。また、教育無償化については、増税時に実施される幼児教育・保育の無償化が▲0.6%pt、2020年4月に実施予定の高等教育無償化が▲0.1%ptとみている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年7月全国消費者物価
単月で見れば弱めの結果も上昇基調は引き続き強い
2025年08月22日
-
2025年7月貿易統計
トランプ関税や半導体関連財の需要一服で輸出金額は3カ月連続の減少
2025年08月20日
-
2025年6月機械受注
非製造業(船電除く)の増加で船電除く民需は3カ月ぶりに増加
2025年08月20日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日