サマリー
◆7月1日に公表予定の2019年6月日銀短観において、大企業製造業の業況判断DI(最近)は7%pt(前回調査からの変化幅:▲5%pt)、大企業非製造業の業況判断DI(最近)は20%pt(同:▲1%pt)と予想した。日本企業の業況感は、製造業を中心として2017年末にピークをつけたのち、現在に至るまで悪化傾向が続いている。
◆前回調査(2019年3月)からの悪化は、米国による対中追加関税「第3弾」発動の影響や、家計消費の低迷などを背景とした内外需の停滞を反映したものだ。他方で①原油価格の再下落に伴う交易条件の改善、②借入金利の一層の低下、③公共投資の進捗加速、④大型連休特需、⑤改元に伴うシステム投資需要の増加などは業況悪化を相殺する要因として作用した可能性が高い。
◆ただし、今回の短観は、米国による対中追加関税「第4弾」を織り込んでいない点には細心の注意を必要とする。また、10月以降に発生する消費増税の影響は、次回以降の短観結果に対しては一定の打撃を与えうるだろう。こうした事情を勘案し、製造業と非製造業の業況判断DI(先行き)は、いずれも引き続き悪化すると見込む。
◆2018年度の設備投資(全規模全産業、含む土地、ソフトウェアと研究開発投資額は含まない)は前年度比+9.3%となったと予想する。今回の数値は、前回のピークである2006年度(同+9.4%)以来の高水準となる見込みであり、文字通り「リーマン・ショック前に迫った」と言えるだろう。しかし日本経済・世界経済の不透明性が高まる中、2019年度6月の設備投資計画は、極めて好調だった2017年度6月、2018年度6月の設備投資計画と比較すると、慎重な数値(同+2.0%)に着地するとみている。
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