サマリー
◆3月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比+0.8%となり、市場コンセンサス(同+0.7%)を小幅に上回った。ただし、エネルギー価格の伸び率が高まったことが主要因であり、物価の基調には変化が見られない。
◆品目別の寄与度の変化を確認すると、「ガソリン」、「ルームエアコン」、「持家の帰属家賃」などが押し上げに寄与した一方で、「宿泊料」、「外国パック旅行費」は押し下げに寄与した。ガソリンは、2018年10月以降マイナス寄与が続いていたものの、2019年に入り持ち直した原油価格の影響が早くも顕在化し、3月はプラス寄与となった。
◆先行きの全国コアCPIの前年比は徐々に鈍化するとみている。当面の焦点はエネルギー価格の動向だ。これまでエネルギー価格の上昇が押し上げに寄与してきたが、今後はその効果が剥落することに加え、2018年11月以降の原油価格の急落がラグを伴って電気代などで顕在化することによりプラス幅は縮小に向かうだろう。さらにその先の2019年末以降は、2019年に入り原油価格が持ち直したことを受けてエネルギー価格も持ち直すとみている。
◆教育無償化や携帯電話通信料の値下げが物価押し下げ要因となることも留意する必要がある。原油価格の下落に加え、これらの要因が全て顕在化すれば、2019年度のコアCPIは前年比でマイナスになる可能性がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4月全国消費者物価
エネルギー高対策の補助縮小や食料価格高騰が物価を押し上げ
2025年05月23日
-
AI時代の日本の人的資本形成(個人編)
AI時代を生き抜くキャリア自律に向けた戦略
2025年05月22日
-
2025年3月機械受注
民需(船電除く)は事前予想に反して2カ月連続で増加
2025年05月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日