サマリー
◆2018年末から今日まで、連日のように毎月勤労統計の不適切調査について報道されている。本稿では、これまでの毎月勤労統計に関する経緯をまとめるとともに、経済指標に与える影響、今後の毎月勤労統計の見方を示していく。
◆毎月勤労統計は国民経済計算(SNA)や景気動向指数といった重要指標の作成にも利用されている。不適切調査が発覚した当初、こうした重要指標も数値が変更されることにより、景気判断などにも影響が出ることが懸念されていたが、その影響は限定的であった。
◆2018年11月確報で再集計値が公表されたことにより、現在の毎月勤労統計は従来の公表値、共通事業所ベースの参考値、再集計値の3つが公表されていることになる。そのため、利用者側は用途によって使い分ける必要があろう。
◆毎月勤労統計は、日本全体の賃金・労働時間の動きを月次で捉えることができる唯一の指標である。業種別、事業規模別、雇用形態別、男女別など詳細に分類されており、活用の方法は多様だ。政府統計の利用者は、その統計が正しいという前提のもとで利用している。今回明らかになった不適切調査は、政府統計に対する信頼を損ねることとなってしまった。信頼回復のためにも他統計を含めて統計法に即した厳格な運用体制の確保や、実体経済の構造変化に対応した調査方法の見直しなどが求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
-
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
-
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
-
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日