2018年10月全国消費者物価

エネルギー価格が当面の焦点に

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2018年11月22日

  • 山口 茜
  • 小林 俊介

サマリー

◆2018年10月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比+1.0%と22ヶ月連続のプラスとなり、市場コンセンサス(同+1.0%)通りとなった。財・サービス別の寄与度の変化を見ると、エネルギーを含む「コア非耐久消費財(除く生鮮食品)」が小幅に上昇した一方で、「耐久消費財」、「半耐久消費財」、「サービス」はほぼ横ばいとなった。

◆品目別では、8月以降値上げが続いている「電気代」の他、10月の増税に伴う一斉値上げが行われた「たばこ」が押し上げに寄与した。一方で、「運送料」は昨年10月に大手運送会社が値上げを行った影響が剥落したことにより、小幅に押し下げに寄与した。

◆先行きの全国コアCPIの前年比は、しばらく+1%程度で推移するとみているが、為替レートと原油価格が現在の水準で推移する場合、2019年春頃から鈍化する可能性がある。エネルギー以外の価格が底堅く推移する中、当面の焦点はエネルギー価格の動向だ。これまで、エネルギー価格の上昇がコアCPIの押し上げに寄与してきたが、今後はその効果が剥落することに加え、足下の原油価格の急落がラグを伴って顕在化することでプラス幅は縮小に向かうだろう。

◆他方で、国内の動きに関して、幼児教育・保育の無償化や携帯電話通信料の値下げが物価押し下げ要因となることも留意しておく必要がある。原油価格の下落、幼児教育・保育の無償化、携帯電話通信料の値下げが全て顕在化すれば、2019年度のコアCPIは前年比でマイナスになる可能性もある。

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