2018年5月全国消費者物価

冴えないCPIの裏で川上・川中物価が反転

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2018年06月22日

  • 金融調査部 主任研究員 長内 智
  • 小林 俊介

サマリー

◆2018年5月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比+0.7%と17ヶ月連続のプラスとなり、市場コンセンサス(同+0.7%)通りとなった。財・サービス別(4分類)の寄与度の「変化」を見ると、「耐久消費財」、「半耐久消費財」、エネルギーを含む「コア非耐久消費財(除く生鮮食品)」がほぼ横ばいとなり、「サービス」が僅かながら押し下げに寄与した。

◆先行きの全国コアCPIの前年比は、前年に下落していた裏の影響が剥落することで当面足踏み状態となる見込みである。ただし、その後は、エネルギー以外の価格が底堅く推移するなか、これまでの原油価格上昇の影響がラグを伴って顕在化し、再びプラス幅を緩やかに拡大するとみている。すでに、足下で輸入物価(川上)と企業物価(川中)の前年比上昇幅が拡大に転じている点には留意したい。

◆政府は、2018年6月の月例経済報告において、消費者物価の基調判断を「このところ緩やかに上昇している」と前月から据え置いた。今後の焦点は、一部の市場関係者が指摘している政府の早期の「デフレ脱却宣言」となる。ただ、5月の全国消費者物価の結果などを踏まえると、いったんデフレ脱却宣言から遠のいた可能性が高い。しばらく、早期のデフレ脱却宣言の議論は下火となろう。

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