サマリー
◆2018年4月の企業関連の指標を見ると、鉱工業生産指数は、前月比+0.5%となり、3ヶ月連続で増加した。他方、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比+10.1%と2ヶ月ぶりに増加した。製造業が同+22.7%と大幅に増加したことが全体を押し上げた。また、非製造業(船電を除く)は同+0.4%と4ヶ月連続で増加した。2017年の非製造業は弱い動きをしていたが、このところ持ち直しの動きが見られる。外需は同+10.0%と3ヶ月ぶりに増加した。
◆2018年4月の家計調査によると、実質消費支出は季節調整済み前月比▲1.6%と3ヶ月連続で減少した。自動車など高額・低頻度消費による振れが大きく、方向性はつかみにくい。他方、4月の完全失業率(季節調整値)は前月から横ばいの2.5%となった。また、有効求人倍率(季節調整値)は前月から横ばいの1.59倍、正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01pt上昇し1.09倍となった。
◆今後発表される経済指標では、7月2日発表予定の6月日銀短観に注目したい。3月日銀短観では、大企業製造業の業況判断DI(最近)は+24%pt(前回:+26%pt、新サンプルベース)と高水準は維持したものの8四半期ぶりに悪化した。6月12日に公表された平成30年4-6月期法人企業景気予測調査(季節調整値(参考値))(内閣府、財務省)では、大企業製造業の「貴社の景況判断」BSIは+4.1%pt(平成30年1-3月期:+6.0%pt)と前期から鈍化した。「貴社の景況判断」BSIは前期と比較した景況感の方向性を回答し、そこから先行きの経済動向を予測する。4、5月のロイター短観の結果等も踏まえると、6月日銀短観では大企業製造業、非製造業ともに2四半期連続で悪化する可能性がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年11月雇用統計
失業者数が減少し、雇用環境の改善が進む
2025年12月26日
-
2025年11月鉱工業生産
自動車の減産などが押し下げ要因/当面の間は軟調な推移を見込む
2025年12月26日
-
トランプ関税の影響緩和に作用した企業対応
自動車は関税負担吸収で他企業への波及回避/機械は価格転嫁
2025年12月19日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

