サマリー
米国でリーマン・ショックが起きてから10 年が経過しているが、当初対岸の火事と思われた日本経済も、金融市場の混乱・世界的不況に巻き込まれ、深刻な景気後退に陥った。10 年間のうち前半5年間は景気後退とそれに続く低迷期であり、対照的に後半5年間はアベノミクスという景気拡大期だった。
戦後2番目の長さの景気拡張となったアベノミクスは、過去と比べて成長スピードが緩慢で、実感に乏しいと言われて久しいが、企業収益や労働需給の改善、株価上昇などの数字を見る限り、及第点を取ることができよう。
ただ、この10 年間を振り返ると、解決を先送りしてきた課題も多い。アベノミクスが戦後最長の景気拡張になるためには、「成長と分配の好循環」の加速が不可欠だが、そのカギを握る企業の期待成長率はほとんど変わっていない。従って、企業マインドに変化をもたらすように、潜在成長率を高める成長戦略の重要性が増していくとみられる。
一方、日銀の金融政策はアベノミクスを積極的に支えてきたが、足元では手詰まり感が強い。リーマン・ショックの打撃が小さかった日本の金融機関だが、現行の政策の影響で収益性は大きく低下しており、今後が懸念される。

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