サマリー
現役世代の消費低迷の一因として、将来不安が指摘される。実際、現役世代の家計で貯蓄率が上昇している他、アンケート調査からも、優先順位の低い消費を抑制し、資産・貯蓄の積み上げを優先する様子が浮かび上がる。
現役世代全体では、非正規雇用に関する不安が強く、不安定な雇用・賃金、資産形成に関する社内制度の欠如、過小な人的資本投資が挙げられる。また20 代・30 代は、子育て、教育に関する不安が強く、特に子どもの高等教育機関への進学を目指す一方で、その費用負担増を懸念しているようだ。さらに40 代・50 代では、2000 年代以降、可処分所得が減少したことで社会保障制度への不安を抱く人々が増加したと考えられる。
社会保障と高等教育費用に関する将来不安は、人的資本投資が不足する非正規雇用者の所得不安の影響を受けている。そこで、人的資本投資の費用を企業横断的に分担し、将来不安を緩和していくことも一案である。国家財政はひっ迫しており、財政支出による将来不安の解消は難しい。現役世代は自分の「稼ぐ力」を高め、将来不安に立ち向かう必要があり、政府には、これを阻害する仕組みを変える、働き方改革のような取り組みが求められるだろう。
大和総研リサーチ本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日