サマリー
◆2017年3月の企業関連の指標を見ると、鉱工業生産指数は前月比▲1.9%と2ヶ月ぶりに低下した。また、機械受注(船舶・電力を除く民需)は同+1.4%と2ヶ月連続で増加した。一方、内閣府が公表した機械受注(同)の4-6月期見通しは前期比▲5.9%と大きく落ち込み、特に2016年度は好調だった非製造業が同▲9.6%と見込まれ、留意する必要があろう。
◆2017年3月の家計調査によると、実質消費支出は季節調整済み前月比▲2.0%と3ヶ月ぶりに減少した。均してみれば実質消費支出は年初来好調に推移しており、底打ちの兆しがうかがえる。また、完全失業率(季節調整値)は前月から横ばいの2.8%、有効求人倍率(季節調整値)は、前月から0.02pt上昇し1.45倍となった。労働需給は引き続きタイトな状況にあると言えるだろう。
◆今後発表される経済指標では、6月1日発表予定の1-3月期法人企業統計に注目したい。2016年10-12月期の全産業(金融業、保険業を除く)は増収増益となり、特に経常利益に関しては、原数値と季節調整値のいずれも過去最高を更新した。ドル円レートの円安方向への推移、生産と輸出の増加基調が維持されたこと等が、1-3月期の企業収益を押し上げたものと考えられ、2期連続で経常利益が過去最高を更新するのかが注目される。また、6月8日に発表される1-3月期の実質GDP(二次速報)は、法人企業統計で発表される在庫や設備投資の結果を受けて改訂される。一次速報の実質設備投資は前期比+0.2%と2四半期連続で増加した。緩やかな設備投資の拡大基調が需要側を映す法人企業統計でも確認されるかに注目したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4月全国消費者物価
エネルギー高対策の補助縮小や食料価格高騰が物価を押し上げ
2025年05月23日
-
AI時代の日本の人的資本形成(個人編)
AI時代を生き抜くキャリア自律に向けた戦略
2025年05月22日
-
2025年3月機械受注
民需(船電除く)は事前予想に反して2カ月連続で増加
2025年05月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日