サマリー
トランプ氏の米国大統領就任は、世界経済の様相を一変させる可能性を持つ。2017年はドル高、金利上昇などの金融市場の変動を通じたインパクトが中心となろうが、それは日欧を中心とした先進国を利する一方で、新興国経済の足取りを重くしよう。米国の拡張的な財政政策の効果が顕在化する2018年は、先進国、新興国双方が実体経済上のメリットを享受することになろうが、完全雇用近傍での追加的な需要創出が、米国の景気拡大期間を短縮化させるリスクがある。米国景気が悪化に転じる中、財政赤字の拡大が金利上昇を残存させれば、やはり新興国の苦境が深まる。
ドル高がトランプ氏の許容範囲を超えたとき、同氏がどのような政策を志向するかも気掛かりである。極端な保護主義は米国自身を痛めるが、やはり先進国とのリンケージが命綱である新興国が被るダメージは大きい。一方、米国が音頭を取って積極財政の国際協調を取り付けるというアップサイドリスクも存在する。本格的な政治の季節を迎える欧州は、ポピュリスト政党の求心力をそぐという観点から、財政規律への拘泥を弱め、協調に応じる可能性がある。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
AI時代の日本の人的資本形成(個人編)
AI時代を生き抜くキャリア自律に向けた戦略
2025年05月22日
-
2025年3月機械受注
民需(船電除く)は事前予想に反して2カ月連続で増加
2025年05月22日
-
2025年4月貿易統計
輸出金額は7カ月連続の増加も、先行きの不透明感は継続
2025年05月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日