サマリー
◆2013年9月の日銀短観では、業況判断DIは大幅な改善を示した。内訳を見ても広い業種で業況が改善しており、景気改善の動きが続いていることを確認させる内容であった。安倍首相は日銀短観の結果を消費税率引き上げの最終判断材料とするとしていたが、今回の結果を踏まえると、予定通り2014年4月に消費税率が引き上げられる見込みである。
◆大企業・製造業の「業況判断DI(最近)」は+12%ptと前回(+4%pt)から大幅に改善し、市場コンセンサス(+7%pt)を上回った。「金属製品」以外の全ての業種で前回調査から改善しており、非常に良い内容。製商品需給判断を見ると、海外需給が横ばいとなる中、国内需給判断が改善しており、堅調な内需が業況を押し上げた格好。また、価格判断について見ると、販売価格判断が上昇する一方で仕入価格判断は低下しており、交易条件の改善が業況判断の改善につながったとみられる。
◆2013年度の大企業・全産業の売上計画は、前年比+3.9%となった。業種別に見ると、製造業が同+5.0%、非製造業が同+3.2%と、いずれも増加を見込んでいる。製造業の売上計画を国内・海外に分けると、国内向けの売上が前年比+4.4%、輸出向けが同+6.6%となっており、輸出向け売上の増加が売上全体を牽引する見通し。なお、2013年度の想定為替レート(大企業・製造業)は94.45円/ドルと前回調査(91.20円/ドル)から円安方向に修正された。足下の為替水準からすると依然保守的な前提となっており、輸出向け売上および利益の上振れ余地が大きい。
◆大企業・全産業の2013年度の「設備投資計画(含む土地、除くソフトウェア)」は、前年比+5.1%と、前回調査(同+5.5%)から下方修正され、市場コンセンサス(同+6.0%)を下回った。設備投資計画については慎重な結果となったと言えるが、過去の修正パターンに照らすと9月調査時点での計画の下方修正は珍しいことではなく、過度に悲観視すべき内容ではない。
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