サマリー
◆2013年3月の家計調査によると、実質消費支出は前年比+5.2%と3ヶ月連続のプラスとなった。季節調整値で見ると前月比+2.0%と3ヶ月連続の増加、振れの大きい住居や自動車などを除いた実質消費支出(除く住居等)で見ると、同▲0.3%と4ヶ月ぶりの減少となった。供給側の統計である小売販売金額も減少しており、これまで続いてきた個人消費の増加は3月でいったん足踏みした格好である。ただし、消費金額自体は高水準を保っており、消費者マインドの改善を背景として、個人消費は堅調な推移が続いていると言える。
◆実質消費支出の動きを項目別に見ると、「食料」が前月比+1.9%、「被服及び履物」が同+0.5%、「教養娯楽」が同+0.2%と小幅に増加した一方で、「光熱・水道」が同▲2.8%、「交通・通信」が同▲1.0%、「家具・家事用品」が同▲2.5%と減少した。
◆消費者マインドの改善による個人消費の増加は、高額品向けから徐々に身近な品目へと広がりを見せており、基調的な消費増加の下地は整い始めている。消費者マインドが冷え込まないうちに、安定的な所得増を実現する成長経路に入ることが重要であるため、内需の動向を見る上でも、生産や収益など、企業部門の動向の注視が欠かせないものとなろう。2014年4月の消費税増税に向けて、徐々に駆け込みの動きも出始めると考えていることから、2013年後半に向けてさらに個人消費は増勢を強める見込みである。ただし、消費税増税前の増加は駆け込みによる一過性のものであり、反動減は避けられ3月消費統計ない。反動減から早期に脱するためにも、所得増加を背景とした基調的な消費増加が続くかどうかが今後の焦点である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
2025年12月日銀短観予想
輸出不振や原材料高で製造業の業況判断DI(最近)は悪化を見込む
2025年12月10日
-
2025年7-9月期GDP(2次速報)
設備投資などが減少し、実質GDPは前期比年率▲2.3%に下方修正
2025年12月08日
最新のレポート・コラム
-
中国:来年も消費拡大を最優先だが前途多難
さらに強化した積極的な財政政策・適度に緩和的な金融政策を継続
2025年12月12日
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
12月金融政策決定会合の注目点
2025年12月12日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

