サマリー
◆【概況】輸出金額が市場コンセンサスを大きく下回る:2012年7月の貿易統計は、海外経済減速の影響によって輸出が弱含み、先行き不透明感が残る内容であった。7月の輸出金額は前年比▲8.1%と市場コンセンサスを大きく下回り、2ヶ月連続のマイナスとなった。輸出金額の季節調整値をみても、前月比▲1.1%と3ヶ月連続の減少となり、足下で弱含み傾向がみられる。7月の輸入金額は、前年比+2.1%と2ヶ月振りの増加。この結果、貿易収支は▲5,174億円と2ヶ月振りの赤字となった。
◆【地域・商品別動向(名目)】幅広い商品の輸出が減少:主要商品別にみると、7月の輸出は幅広い業種で減少したことが確認できる。減少した業種では、「化学製品」、「一般機械」、「電気機器」が注目される。他方、輸出が増加した業種では、「輸送用機器」が前年比+1.2%と小幅ながらも6ヶ月連続で増加した。主要国・地域別の輸出金額は、米国向けが前年比+4.7%、EU向けが同▲25.1%、アジア向けが同▲9.0%となった。
◆【今後の見通し】輸出の下振れリスクが強まる:輸出は、欧州債務問題が一段と深刻化しなければ、腰折れせずに横ばい圏でしばらく推移すると考えている。ただし、下振れリスクは依然として強い。当社の輸出数量指数の推計値が、弱含み傾向にあることにも注意したい。輸入は、これまでの増加基調に一服感が出始めると考える。輸出が横ばい圏で推移して、輸入も高い状況が続く結果、貿易収支が黒字基調に転じるには、もうしばらく時間を要するとみている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
ソフトウェア投資の拡大は今後も続くのか
求められるIT人材の育成、中小企業への支援、行政のデジタル化
2024年04月25日
-
中国経済見通し:名目<実質、実感なき景気堅調
不動産不況に一段の長期化の懸念
2024年04月25日
-
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
-
大手生保は中長期の事業環境の変化に対応できるか
~本格化するビジネスモデル変革~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
-
複眼的思考へのヒント
2024年04月24日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日