6月鉱工業生産~生産は横ばい圏で推移

海外経済の減速などの下振れリスクに注意

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2012年07月30日

サマリー

【概況】生産は予想外のマイナス:2012年6月の生産は、予想外のマイナスとなった点をネガティブに捉えているが、全体的にみると横ばい圏で推移しているという内容であった。生産指数の季節調整済み前月比は▲0.1%と3ヶ月連続のマイナスとなり、市場コンセンサスを下回った。四半期別でみると、4-6月期の生産指数は前期比▲2.2%と4四半期振りのマイナスとなり、生産活動に息切れ感が出てきた。機械設備の供給サイドの先行指数である4-6月期の資本財出荷(除く輸送機械)は前期比+0.5%と小幅ながらも2四半期振りのプラスとなった。6月日銀短観の設備投資計画が堅調だったことを踏まえると、設備投資は緩慢なペースながらも改善基調にあると考えている。

【業種別の動向】輸送機械の政策効果が剥落:2012年6月の生産を業種別にみると、速報値が公表されている16業種中10業種の生産が低下した。生産が低下した業種で注目されるのは「輸送機械」である。「輸送機械」は前月比▲4.3%と2ヶ月連続のマイナスとなり、全体を押し下げた。前月のレポートで指摘したように、エコカー補助金復活による「輸送機械」の生産押し上げ効果が剥落したことが主因である。また、海外経済減速の影響で輸出が鈍化している「電気機械」、「鉄鋼」などもマイナスに寄与した。

【今後の見通し】生産はしばらく横ばい圏で推移:生産の先行きは、東日本大震災に伴う復興需要に支えられて、大きく腰折れすることはなく横ばい圏での動きが続くと見込んでいる。ただし、生産が拡大軌道に復帰するにはもう少し時間が必要だと考えている。エコカー補助金の効果一巡、欧州の景気失速、中国経済の鈍化などの生産の下振れリスクが強まっている点に注意が必要である。特に、欧州債務問題に伴って海外経済の減速傾向が一段と強まっているため、日本の輸出減少を経由して生産の重石になる公算が大きい。中国の4-6月期の実質GDP成長率が減速基調を続けたことから、中国経済との関係が強い業種の生産活動に影響が出る可能性がある。

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