経済指標の要点(4/19~5/21 発表統計分)

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2012年05月21日

  • 齋藤 勉
  • 経済調査部 シニアエコノミスト 増川 智咲

サマリー

◆企業関連の指標は、足下の堅調さを確認すると同時に、先行きの不透明感を感じさせる内容であった。鉱工業生産指数は前月比+1.3%と2ヶ月ぶりのプラスとなった。一方で、製造工業生産予測調査によれば、5月に生産が足踏みする見通しになっており、生産の回復には一服感が見られる。輸出金額は、前年比+5.9%と6ヶ月ぶりのプラスとなった。2011年3月に東日本大震災の影響で輸出が減少したことの反動増に加え、ASEAN向け輸出が増加したことが要因である。機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比▲2.8%と3ヶ月ぶりのマイナスとなったが、均して見れば堅調な推移が続いている。海外経済は不安定な情勢が続くが、エコカー補助金や復興需要などに支えられて、企業関連指標は持ち直していくとみられる。

◆家計関連の指標は雇用・所得・消費環境に緩やかに持ち直しの兆しが見られる内容であった。家計調査の実質消費は前年比+3.4%と2ヶ月連続のプラスとなった。ただし、2011年3月に東日本大震災の影響で消費が落ち込んでいたことに注意する必要がある。消費支出(除く住居等)の季節調整値で見ると、前月比▲0.5%と4ヶ月ぶりに減少している。失業率は4.5%と前月から横ばいでの推移となり、有効求人倍率は前月から0.01pt改善した。所定内給与はともに前年比+0.4%と、47ヶ月ぶりのプラスとなった。先行きは、企業業績の改善を通じて雇用・所得・消費環境は緩やかに持ち直していくとみられる。

◆今後発表される統計では、5月31日に公表される4月の鉱工業生産に注目したい。生産の回復には一服感が見られており、製造工業予測調査によれば5月にも生産は足踏みする見通しである。海外経済は不安定な要素を抱えており、電力問題も夏場に向けて佳境を迎えようとしている。生産は底堅く推移すると考えているが、足下でリスクが高まっているなかで、改善傾向を続けられるかどうかが注目点である。

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