経済指標の要点(2/18~3/21発表統計分)

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2012年03月21日

  • 齋藤 勉
  • 経済調査部 シニアエコノミスト 増川 智咲

サマリー

◆企業関連の指標は、特殊要因を除けば概ね堅調な内容であった。鉱工業生産指数は前月比+1.9%と2ヶ月連続でのプラスとなったが、出荷指数や在庫指数は悪化している。第3次産業活動指数は、生命保険の制度改正の影響もあり、前月比▲1.7%と2ヶ月ぶりのマイナスとなった。輸出金額は、中国の旧正月の影響から前年比▲9.2%と4ヶ月連続でのマイナスとなり、貿易赤字額は過去最高となった。一方で機械受注は前月比+3.4%と2ヶ月ぶりのプラスとなった。歴史的な円高水準は2月以降是正され始めたが、輸出や生産の本格的な増加には海外経済の回復が不可欠である。企業関連の動向は、今後も海外経済の動向に左右されるとみられる。

◆家計関連の指標は雇用・所得・消費環境が引き続き横ばいで推移していることを示す内容であった。消費は前年比▲2.3%と2ヶ月ぶりのマイナスとなったが、消費支出(除く住居等)の季節調整値で見れば前月比+0.9%と増加している。失業率は前月から0.1%pt悪化したが、有効求人倍率は前月から0.02pt改善した。現金給与総額は前年比+0.0%と横ばいでの推移となったが、所定内給与は前年比+0.3%と13ヶ月ぶりのプラスとなった。先行きは、海外経済の環境の改善や、歴史的な円高水準の是正など、外部環境の好影響から、企業業績の改善を通じて雇用・所得・消費環境はゆるやかに改善していくとみられる。

◆今後発表される統計では、4月2日に公表される日銀短観に注目したい。歴史的な円高水準の是正や海外経済の改善傾向など、外部環境が改善する中で、民間調査機関による景況感調査では製造業の景況感はそれほど改善していない。法人企業統計ベースでは大きく伸びた設備投資の動向や、円高の是正を受けて想定為替レートが変更されているか、などに注目したい。

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