サマリー
◆【概況】生産は震災後で最も高い水準:2012年1月の生産は、タイの大洪水で落ち込んだ生産を取り戻す動きが押し上げに寄与し、堅調な推移が継続した。生産指数の季節調整済み前月比は+2.0%と2ヶ月連続のプラスとなり、市場コンセンサスを上回った。今回、生産水準が2011年8月を上回って東日本大震災後で最も高くなった点にも注目したい。製造工業生産予測調査に基づくと、2012年3月の生産は震災直前の2011年2月の水準を超える公算である。
◆【業種別の動向】輸送機械にエコカー補助金の効果:2012年1月の生産を業種別にみると、速報値が公表されている16業種中12業種の生産が拡大した。生産の拡大が目立つ業種は、「情報通信機械」、「輸送機械」である。エコカー補助金の効果については、「乗用車」の出荷指数が前年比+18.1%と大きく拡大したことからも確認できる。
◆【今後の見通し】生産は回復軌道を辿る:生産の先行きは、震災の復興需要やエコカー補助金といった国内要因が下支えとなり、回復軌道を進むと考えている。業種別では、「輸送機械」の生産動向が注目される。これは、足下で堅調な米国向け自動車輸出やエコカー補助金の復活に伴う国内新車販売台数の増加が、「輸送機械」の生産拡大に作用すると考えるためである。
◆【製造業の売上動向】先行きは改善傾向:今回発表された鉱工業生産と企業物価指数の動向から判断すると、2011年10-12月期の売上高は悪化するが、2012年1-3月期は改善傾向を示す見込みである。また、2月28日に公表された内閣府の調査によると、製造業の2012年度の需要見通しは前年度比+1.6%となり、企業は需要が引き続き安定的に回復することを見込んでいる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
2025年12月日銀短観予想
輸出不振や原材料高で製造業の業況判断DI(最近)は悪化を見込む
2025年12月10日
-
2025年7-9月期GDP(2次速報)
設備投資などが減少し、実質GDPは前期比年率▲2.3%に下方修正
2025年12月08日
最新のレポート・コラム
-
中国:来年も消費拡大を最優先だが前途多難
さらに強化した積極的な財政政策・適度に緩和的な金融政策を継続
2025年12月12日
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
12月金融政策決定会合の注目点
2025年12月12日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

