高齢化がもたらす不動産市場へのインパクト

高齢化・人口減少による地価への影響はマイナス

RSS

2011年12月29日

  • 森 祐司

サマリー

◆土地価格や住宅着工件数など不動産市場に関する指標と人口動態を示す指標(人口増加率や生産年齢人口比率)との間には、長期的に密接な関係があることが分かった。具体的には、人口の減少や高齢化の進行が地価にはマイナスの影響を与えることが分かった。

◆国別クロスセクション・データによる結果からも、人口増加率と住宅価格変化率の間に正の相関があることが示された。

◆90年代からの不動産市場の動向を見ると、不動産取引や住宅着工件数など様々な指標からは全般的に低落傾向が窺える。特に近年はそれら水準は低位安定しているように見える。景気変動による地価への影響もあるとは見られるが、長期的な低落傾向には人口動態からの影響を否定できないように考えられる。

◆都道府県別の地価と人口動態(高齢化や人口減少に関するパネルデータ推計からも人口動態からの影響が十分有意であることも分かった。この推計結果を基にして、都道府県別の将来人口推計を用いて人口動態による地価への影響を推計すると、全ての都道府県の平均地価に下落圧力がかかることが分かった。

◆人口減少や高齢化による地価へのマイナスの影響をカバーするために、土地の有効活用や生産性の向上が必要とされよう。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。