11月貿易統計~輸出の足踏みが続く

先行き不透明感の残る内容

RSS

2011年12月21日

サマリー

【概況】輸出は2ヶ月連続のマイナス:2011年11月の貿易統計は、輸出の足踏み状態が続き、先行き不透明感が残る内容であった。輸出金額は前年比▲4.5%と2ヶ月連続のマイナスとなり、市場コンセンサスを僅かながらも下回った。2011年1月~11月の貿易収支が約▲2.3兆円となったことを踏まえると、2011年の貿易収支は第2次石油ショック後の1980年以来の赤字となる公算である。

【地域・品目別動向(名目)】アジア向けが弱い:主要品目別の輸出金額では、「電気機器」、「一般機械」の減少が注目される。輸入については、代替燃料の需要増加と価格高止まりを背景に、「液化天然ガス」の輸入金額が前年比+76.0%、輸入数量が同+21.3%と揃って大幅に増加した。タイ向けの輸出金額は、大洪水の影響で前年比▲24.0%と前月よりマイナス幅が大きく拡大した。

【今後の見通し】輸出は横ばい圏:輸出は、海外経済の減速が重石となり、横ばい圏での推移が続くと考える。世界景気と為替からみた日本の輸出数量の推計値(当社推計)が弱含んでいることから窺えるように、日本の輸出を取り巻く環境は厳しさを増している。輸入価格は、今夏以降の国際市況価格の調整を受けて徐々に増勢が弱まる見通しであるが、輸入単価(輸入金額/輸入数量)が高止まりしている点に留意したい。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。