サマリー
◆【概況】輸出は2ヶ月連続のマイナス:2011年11月の貿易統計は、輸出の足踏み状態が続き、先行き不透明感が残る内容であった。輸出金額は前年比▲4.5%と2ヶ月連続のマイナスとなり、市場コンセンサスを僅かながらも下回った。2011年1月~11月の貿易収支が約▲2.3兆円となったことを踏まえると、2011年の貿易収支は第2次石油ショック後の1980年以来の赤字となる公算である。
◆【地域・品目別動向(名目)】アジア向けが弱い:主要品目別の輸出金額では、「電気機器」、「一般機械」の減少が注目される。輸入については、代替燃料の需要増加と価格高止まりを背景に、「液化天然ガス」の輸入金額が前年比+76.0%、輸入数量が同+21.3%と揃って大幅に増加した。タイ向けの輸出金額は、大洪水の影響で前年比▲24.0%と前月よりマイナス幅が大きく拡大した。
◆【今後の見通し】輸出は横ばい圏:輸出は、海外経済の減速が重石となり、横ばい圏での推移が続くと考える。世界景気と為替からみた日本の輸出数量の推計値(当社推計)が弱含んでいることから窺えるように、日本の輸出を取り巻く環境は厳しさを増している。輸入価格は、今夏以降の国際市況価格の調整を受けて徐々に増勢が弱まる見通しであるが、輸入単価(輸入金額/輸入数量)が高止まりしている点に留意したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年3月雇用統計
失業率は上昇するも、求人倍率が上昇するなど雇用環境は悪くない
2025年05月02日
-
消費データブック(2025/5/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年05月02日
-
2025年1-3月期GDP(1次速報)予測 ~前期比年率+0.5%を予想
外需が下押しも内需は堅調/小幅ながら4四半期連続のプラス成長
2025年04月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日