サマリー
◆7-9月期の実質GDP成長率は前期比+1.5%(前期比年率+6.0%)と4四半期ぶりの大幅プラス成長となった。消費や設備投資などが前期比で増加しており、東日本大震災の影響で大きく落ち込んだ経済が、幅広い分野で回復に向かったことがうかがえる内容であった。一方で、公共投資は前期比で減少しており、復興需要の発現が想定よりも遅れていると考えられる。今後の日本経済は、復興需要に支えられて緩やかな拡大を続ける見通しである。ただし、景気下振れリスクは徐々に強まっていることに注意が必要だ。
◆企業関連の指標は、震災からの回復が一服したことを示す内容であった。輸出が2ヶ月連続で増加した一方で、生産は6ヶ月ぶりのマイナスとなった。機械受注は2ヶ月ぶりのマイナスとなったが、設備投資環境は堅調に回復しており、基調としては回復傾向にあると考えられる。先行きは堅調な推移が続く見通しであるが、欧州債務問題やタイの洪水被害の影響は徐々に拡大しており、海外経済の動向に左右されることが見込まれる。
◆家計関連の指標は、雇用・所得・消費環境が足踏み状態にあることを示す内容であった。消費は7ヶ月連続で前年比マイナスとなったが、減少幅は縮小している。雇用環境を示す指標も回復が続いているが、その動きは緩慢であるといえる。先行きは、企業業績の悪化などを通して、家計関連指標は厳しい状態が続く可能性がある。
◆今後発表される統計では、12月2日公表予定の法人企業統計など、企業関連の指標に注目したい。10月以降に発生したタイの洪水被害の影響や、欧州債務問題の広がり、急速な円高などが企業の生産などに大きな影響を与えていれば、震災からの復興ペースも鈍化するものと見られる。
◆企業関連の指標は、震災からの回復が一服したことを示す内容であった。輸出が2ヶ月連続で増加した一方で、生産は6ヶ月ぶりのマイナスとなった。機械受注は2ヶ月ぶりのマイナスとなったが、設備投資環境は堅調に回復しており、基調としては回復傾向にあると考えられる。先行きは堅調な推移が続く見通しであるが、欧州債務問題やタイの洪水被害の影響は徐々に拡大しており、海外経済の動向に左右されることが見込まれる。
◆家計関連の指標は、雇用・所得・消費環境が足踏み状態にあることを示す内容であった。消費は7ヶ月連続で前年比マイナスとなったが、減少幅は縮小している。雇用環境を示す指標も回復が続いているが、その動きは緩慢であるといえる。先行きは、企業業績の悪化などを通して、家計関連指標は厳しい状態が続く可能性がある。
◆今後発表される統計では、12月2日公表予定の法人企業統計など、企業関連の指標に注目したい。10月以降に発生したタイの洪水被害の影響や、欧州債務問題の広がり、急速な円高などが企業の生産などに大きな影響を与えていれば、震災からの復興ペースも鈍化するものと見られる。
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