サマリー
◆【概況】生産は6ヶ月振りのマイナス:2011年9月の鉱工業指数は、震災直後の大幅な落ち込みから堅調に回復してきた生産が、震災後初めてマイナスに転じるという結果であった。9月の生産指数は前月比▲4.0%と6ヶ月振りのマイナスとなり、市場コンセンサスも下回った。製造工業生産予測調査では、10月分の計画が前月比+2.3%、11月分が同+1.8%と堅調に回復する見込みであるが、後述するタイの大洪水の影響が十分に反映されていない可能性がある。7-9月期の生産指数は、前期比+4.1%と5四半期振りにプラスへ転じた。ただし、これは震災の影響で大きく落ち込んだ4-6月期の反動増の影響が大きく、足下の生産モメンタムを評価する際には注意が必要である。
◆【業種・財別の動向】全業種の生産が低下:9月の生産を業種別にみると、速報値が公表されている全16業種の生産が低下した。輸送機械は前月比▲6.0%と5ヶ月振りのマイナスになったが、その主因が季節パターンの歪みであるため、それほど悲観的に捉える必要はないと考えている。輸送機械の原系列データでは、震災前2月の水準を9月に初めて上回ったことが確認できる。設備投資の先行きを占う上で注目される「資本財出荷(除く輸送機械)」は、7-9月期が前期比▲0.2%と僅かながらもマイナスとなった。
◆【今後の見通し】生産は踊り場的な局面へ:2011年度下期の生産は、東日本大震災の復興需要が下支えとなり、緩やかな回復軌道を辿ると考えている。しかし短期的には、海外経済の減速に加え、10月にタイで発生した大洪水などを背景に、生産は踊り場的な局面を迎える公算が大きい。後者に関しては、タイ向け輸出品の生産見送りや、タイから部品・部材を輸入して組み立てている工業製品の生産が滞るという影響が指摘できる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
CPIの2025年基準への改定による影響
コアCPIの前年比上昇率は0.0~▲0.3%pt程度の下方改定か
2026年07月16日
-
2026年5月機械受注
船電除く民需は前月の反動などで大幅に減少
2026年07月15日
-
骨太方針のポイント② ~「責任ある積極財政」の試金石は2030年代に
「財政ボーナス期」後を見据え「成長ありき」でない財政運営が必要
2026年07月15日
最新のレポート・コラム
-
データサイエンスを踏まえた年金数理理論の人的資本分析への発展可能性
新たな退職率算定方法による退職要因分析への応用
2026年07月17日
-
AI時代に自社のサイバー対策は正解なのか?
~Claude Mythos騒動を受けた各企業の対応を確認する~
2026年07月17日
-
CPIの2025年基準への改定による影響
コアCPIの前年比上昇率は0.0~▲0.3%pt程度の下方改定か
2026年07月16日
-
中国:26年2Qは4.3%成長、内需が急減速
4月~6月は政府成長率目標の下限を下回る
2026年07月16日
-
AI時代の競争力を生むのは誰か? ~シリコンバレーとシアトルが示す「人材エコシステム」の力~
2026年07月17日
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

