サマリー
◆東日本大震災後の供給制約がマクロの需給バランスを引き締めるとの議論があるが、その影響度を定量的に把握することは極めて難しい問題である。そこで、潜在GDPを構成する「潜在資本投入量」に関して、シナリオ分析を行うことにより、震災後の供給制約とGDPギャップとの関係を俯瞰する。
◆供給制約の影響について指摘できることは、次の3点である。(1)資本ストック毀損のGDPギャップへの影響は限定的である、(2)稼働率低下の影響は大きく、GDPギャップが一時的にプラスに転じる可能性がある、(3)資本ストックの復元と稼働率の回復に伴ってGDPギャップはすぐに元の水準へ戻るため、供給制約の影響は中長期的な課題とならない。
◆2011年1-3月期GDP1次速報値を用いて当社が推計したGDPギャップは▲4.6%と、前四半期(同▲3.7%)よりマイナス幅が拡大した。金額(年換算)に直すと、約26兆円の需要不足である。大震災を受けて、需要が大きく落ち込んだ影響が顕在化したものと考える。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年10月貿易統計
トランプ関税の悪影響が継続。今後は米中リスクにも警戒が必要
2025年11月21日
-
2025年10月全国消費者物価
サービス価格や耐久消費財価格の上昇が物価上昇率を押し上げ
2025年11月21日
-
中国の渡航自粛要請は日本の実質GDPを0.1~0.4%下押し
今後は対中輸出などへの波及に要注意
2025年11月21日

