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金融街シティは国際金融都市の座を死守できるのか?

金融サービスは合意なき離脱に突入、欧州大陸に株式取引がシフト

2021年01月21日

ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 菅野 泰夫

サマリー

◆移行期間終了まであと1週間に迫った2020年12月24日、英国とEUはついに、通商協定を含む将来的な関係性を巡る交渉で合意した。ただし、金融サービスは協定交渉の対象外であり、金融セクターは実質的な合意なき離脱に突入している。2021年1月4日は英国がEU単一市場を離脱して初めての証券取引所の発会となった日であるが、シティでのEU企業のユーロ建て株式取引の大半が、フランクフルトやアムステルダムといったEU域内の取引所に一斉に移っている。移動は予想されていたものの、一夜にしての変化の大きさはシティの金融市場関係者の驚きを招いた。

◆今後は2021年3月までに金融サービス分野における規制面での協力についてEUとの覚書締結を目指している。ただし、これがEUからの同等性評価付与を保証するわけではない。どのような覚書が締結されたとしても、EU市場への最低限のアクセスを提供する程度であり、それよりも双方の規制当局が国内での決定事項に関し、情報交換するための方法を確立するにとどまる可能性が高いとみられている。今後は多くの分野で規制の乖離が急速に進むと考えられており、同等性評価付与はさらに難しくなるとの懸念もある。

◆英国政府はブレグジットによるEU規制からの解放を契機に、規制緩和や規制上の負荷軽減を図る意向を示している。もともとシティのホールセール事業のうち、英国顧客によるものは半分にも満たない。金融ハブとしてシティが繁栄したのは、自国通貨のポンドではなくドルやユーロ建ての金融商品を外国人が取引するオフショア市場のプレイグラウンドとして発展した経緯がある。シティは場所とルールを提供するものの、プレイヤーと資金は他の場所からやってくる、いわゆるウィンブルドン現象の中心地であった。ただ今後は、初めて金融サービスのシェアの縮小に直面することになるため、これまで存在していなかった摩擦が生じることには違いはない。

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