1. トップ
  2. レポート・コラム
  3. 経済分析
  4. 欧州
  5. 新型コロナウイルス感染再拡大が続く欧州

新型コロナウイルス感染再拡大が続く欧州

ロックダウン優等生のイタリア、劣等生の英国

2020年09月25日

ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 菅野 泰夫

サマリー

◆9月22日、ジョンソン首相は議会で新型コロナウイルスに関する声明を行い、第2波到来の見通しが本物であり、英国が危険な転換点に達したことを認めた上で、規制の再強化を発表した。ただし、懸念されていた全国的なロックダウンの宣言ではなかったことに安堵の声が上がっている。英国経済は消費者支出に大きく依存するだけに、ロックダウンによる打撃は他の欧州諸国に比べても大きく、一部閣僚は再導入に強く反対していたとされる。

◆スウェーデンは感染リスクと経済への打撃を勘案し、ロックダウンを義務付けなかった数少ない欧州諸国の一つである。ただし、そのコロナ対策についての成否の見方は分かれている。ロックダウン回避の目的は、集団免疫の獲得とされたが、英国王立医学協会によると、ストックホルムの人口のわずか15%しか抗体を獲得していないことが確認されており、集団免疫の確立に必要な70%からは程遠い状況にある。2020年第2四半期の実質GDP成長率を見ても、ロックダウンを義務付けたEU諸国の中には、スウェーデンよりも経済への影響が軽微だった国もある。この背景には、スウェーデンではあたかもロックダウンがなかったかのように報じられているが、実際には政府の指針に従っての自主的な在宅勤務や公共交通機関利用の自粛など、ロックダウンに近いことが起こっていたことが挙げられる。

◆春のコロナ危機では多大な被害が出たイタリアだが、過去数週間では感染拡大の再燃に見舞われた他の欧州諸国とは異なる様相を見せている。イタリアでの9月以降の一日当たり感染者数は、スペインやフランス、英国とは比べ物にならないほどの低い水準であり、ドイツをも下回る。かなり早期にかつ厳格ロックダウンを行い、解除にも慎重であったイタリアと、ロックダウン導入になかなか踏み切れず、早期解除を急ぎすぎた英国との差が、今になって感染再拡大という形で出てきているとみられている。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加