サマリー
◆当初は長期戦を覚悟していた欧州首脳は、ここに来て急速にロックダウンの解除を検討し始めている。各国の事情は異なるものの、欧州のロックダウン解除の出口戦略には大枠としていくつかのシナリオが準備されている。そのひとつが、感染カーブが平たん化されると同時に、ロックダウンの全面解除を狙うシナリオが考えられる。想定を上回る人数が既に感染し、集団免疫(国民の7割~8割が罹患し免疫ができる)を獲得した状態になる、あるいは隔離措置が成功しワクチンの開発等が急速に進むことで、冬までの間にウイルスの流行が再び起こらないと想定している。
◆最も現実的なシナリオとして、徐々に通常生活へ復帰させ、高リスク群の隔離措置を夏まで続けるという段階解除がある。在宅勤務が可能なものは当面そのまま継続させ、パブや映画館など不特定多数が訪れる場所は他者との距離を取る社会的距離(Social distancing)戦略を続けながら再開する。これによって、病床数の確保など医療サービスのキャパシティが戻るため、冬に向けて再び感染拡大が起きても、(医療崩壊を防ぐための)ロックダウン再導入を回避するというシナリオである
◆感染拡大によって引き起こされた今回の金融市場の混乱を受けて、主要中銀が政策金利を引下げたが、これが銀行の貸出金収益をさらに圧迫することとなる。さらに政府から現金給付などが数か月続いたとしても、ロックダウン措置が長引けば、多くの企業や家計が、債務を返済できず、破産や倒産となって債務不履行が続くという財政的な行き詰まりが起きることが懸念されている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 利上げ後、状況が一変
原油価格下落で追加利上げは様子見/スターマー首相辞任後の注目点
2026年06月23日
-
欧州経済見通し 家計主導の景況感悪化
製造業では駆け込み需要が下支え/英国では政治不安がリスクに
2026年05月27日
-
1-3月期ユーロ圏GDP 市場予想に反して減速
かろうじてプラス成長も、原油高の悪影響本格化の前から成長停滞
2026年05月01日
最新のレポート・コラム
-
学校施設の廃止後の課題
廃校施設活用状況実態調査の分析
2026年06月30日
-
2026年5月鉱工業生産
輸送機械工業(除.自動車工業)がけん引し、2カ月連続で上昇
2026年06月30日
-
2026年5月雇用統計
失業率は2.5%と前月から横ばいも、就業者数は小幅に増加
2026年06月30日
-
熊谷亮丸の経済・金融 Foresight 高市政権の「骨太の方針」の成否は成長投資、危機管理投資の結果次第
成長投資、危機管理投資に関しては、費用対効果を踏まえた優先順位付けを伴う客観的な制度の構築、EBPMの推進等が不可欠
2026年06月30日
-
高市政権の官民投資ロードマップはデジタル重視が鮮明に
2026年06月29日
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
-
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
-
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

