サマリー
◆10月31日に退任が予定されている欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、9月12日の政策理事会で、フォワードガイダンスの変更も含めた大規模な緩和パッケージを発表した。今後、インフレ見通しが目標値のレベルに収束するまで、現行あるいはそれより低い水準に政策金利をとどめるとのECBからのメッセージは、欧銀にとって、当面厳しい経営環境が継続することを意味する。
◆欧銀は、金融危機後に米銀が経験したような厳格なストレステストをすることもなく、問題の先送りに終始し、経費削減や非効率なITインフラの改善、高い費用を伴う支店網のリストラを怠ったことが、経営不振につながっている。また国際的に活動する投資銀行業務を抱える欧銀の中でも、特に大きく収益性が低下したのが、大規模なトレーディング事業を展開していた銀行である。
◆英国やドイツでは、近年設立されたスマホなどのモバイルバンキングを専門とする、一般にチャレンジャーバンクと呼ばれる銀行のシェアが大きく拡大している。チャレンジャーバンクの大半はまだ十分な利益を計上できていない段階にあるものの、従来銀行のような、旧態依然としたコストを増加させる圧力はない。さらに、EU規制により欧銀はオープンAPIが義務付けられており、従来銀行はチャレンジャーバンクの存在を無視できない状況にある。
◆現在の邦銀は、国内企業向け融資という現状維持からシフトし、海外金融機関の買収などにより、新たな収益の活路を海外に求めているケースが多い。(海外業務に活路を求め)国際的な投資銀行の買収や合併により、米銀と伍していこうとしたことが結果的に裏目に出た、ドイツの銀行の事例は他山の石となるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 利上げ後、状況が一変
原油価格下落で追加利上げは様子見/スターマー首相辞任後の注目点
2026年06月23日
-
欧州経済見通し 家計主導の景況感悪化
製造業では駆け込み需要が下支え/英国では政治不安がリスクに
2026年05月27日
-
1-3月期ユーロ圏GDP 市場予想に反して減速
かろうじてプラス成長も、原油高の悪影響本格化の前から成長停滞
2026年05月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

