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合意なき離脱へ突き進むジョンソン首相の勝算

混迷するブレグジット情勢の今後の見通し

2019年09月12日

ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 菅野 泰夫

サマリー

◆9月10日未明、ジョンソン首相が9月4日に続き再び提出した解散総選挙を求める動議の採決が行われ、賛成293票VS反対46票と可決に必要な議員の3分の2以上の賛成(434票)に届かなかった。議会での審議開始から立て続けに、敗北を喫した形となったものの、ジョンソン首相は採決後、合意があろうとなかろうと10月31日に離脱すると宣言し、国益のために、合意を勝ち取ると誓った。

◆9月6日に英国議会が発表したジョンソン政権下の合意なき離脱の方針に関する資料では、合意なき離脱時に備える危機管理策(イエローハンマー作戦)の資料に言及している。それによると、政府が想定している合意なき離脱での蓋然性が高いシナリオとして、食料や医薬品不足、物価高騰や燃料供給への支障、通関での混乱や英国全土での抗議活動、北アイルランドでのハードボーダーの復活などに触れており、準備は万端ではなかったのかと英国民の間で動揺が広がっている。

◆ジョンソン首相は議会での過半数を失い、その強硬な姿勢が与野党含め、議会内では猛烈な批判にさらされている。しかし保守党支持率を見れば、メイ政権時の低迷から一転、7月24日のジョンソン首相就任以降、急激に上昇している。その背景には、ブレグジットを実現するためには合意なき離脱をも辞さない、ジョンソン首相のリーダーシップがある。仮に総選挙が実施されたとしても、明確に残留か離脱かという、ブレグジットに関する党の方針を示さない労働党にとっては、不利な選挙となることが予想されている。

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