サマリー
◆EUは域内と域外の双方で複数の難問に直面している。域内では英国のEU離脱(Brexit)交渉が膠着する中で、6月半ばにEUの移民・難民対策が争点として急浮上し、6月28、29日のEU首脳会議ではこの問題にほとんどの時間が割かれた。ドイツのメルケル政権の崩壊はひとまず回避されたが、EUの移民・難民対策への不満は引き続きくすぶる。また、EU予算の配分やEUの財政ルールなどについても加盟国は一枚岩ではなく、今後EUの2021-2027年予算の議論が本格化する中で、その対立が表面化する可能性が高い。一方、EU域外では、トランプ大統領の登場以来、安全保障や通商問題などで米国との摩擦が高まっている。
◆EUが直面する「内憂外患」は、第二次世界大戦後に創設され、維持されてきた制度が批判の対象となったことに起因する。「内憂」に関してはEUがEU内部から批判され、「外患」に関してはNATOやWTOがトランプ大統領の批判の対象となっている。EUとしては、問題が指摘される既存の制度を破壊するのではなく、改革して存続させようとの立場だが、多くの利害関係者が納得する改革方針を提示し、遅滞なく実行に移すことができるか、その危機対応能力が試されている。
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