サマリー
◆7月12日、長らく待たれていたブレグジット白書が、英国政府からついに発表された。104ページからなる同白書は、7月6日の首相別邸(チェッカーズ)での閣議で合意された内容を含むだけでなく、さらに広範囲なブレグジット交渉の指針が示されている。ただ、それほど衝撃的な内容があるわけではなく、EUへの清算金支払い、離脱後の移民の数といった本当に重要な点に関する詳細は欠けている。
◆白書の中で最も注目されたのが、財の自由貿易圏の設立(共通ルールブックの導入)と円滑化された通関措置(FCA)であろう。この2つのスキームを導入する利点は、英国がEU域外諸国との貿易協定締結の機会を持ちながらも関税同盟の利点を維持できることである。一方、金融サービスについては、新たに包括的な取り決めを行うようEUに呼び掛けている。
◆度重なる造反議員の出現により、メイ首相にとって保守党をまとめ上げることがいかに難しくなっているかが浮き彫りとなっている。9月30日から10月3日にかけて行われる保守党大会までにEUとの協議が難航すれば、解散総選挙も視野に入るなど、英国は年末にかけて政治的緊張が続くとみられている。
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