サマリー
◆イタリアで「五つ星運動」と「同盟」による連立政権が発足する運びとなった。両党が最初に作成した閣僚名簿は、強硬な反EU論者で経済学者のサボーナ氏を経済財務相としていたことを理由に、5月27日にマッタレッラ大統領から拒否されたが、同氏を欧州問題担当相に変更した新たな閣僚名簿が作成され、5月31日に受理された。今後、議会承認を経て、新政権が誕生する。
◆EUを批判するポピュリスト政権の誕生は、イタリアが最初ではなく、ギリシャのチプラス政権という先例がある。チプラス政権は国民の圧倒的な支持を得て、EUに債務減免や緊縮財政政策の見直しを要求したが、結局はEUの財政支援を得るために緊縮財政と構造改革のさらなる推進を受け入れた。
◆イタリアのポピュリスト政権が、大盤振る舞いをした選挙公約をどこまで実行に移そうとするのか、EUとの緊張がどこまで高まるかが次の焦点となろう。いずれはギリシャのように「現実的な」政策に軌道修正を迫られると予想するが、イタリアの経済規模と債務残高はギリシャよりはるかに大きい。EUには「イタリア懸念」が他の加盟国に波及しないよう対策を講じつつ、イタリア新政権と協議することが求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 対米通商交渉に一喜一憂
米英合意、米中間の関税引き下げは朗報、EUの交渉は楽観視できず
2025年05月23日
-
1-3月期ユーロ圏GDP 成長ペースは再加速
市場予想を上回る良好な結果、ただし先行きは減速へ
2025年05月01日
-
欧州経済見通し 相互関税で悲観が広がる
対米輸出の低迷に加え、対中輸出減・輸入増も懸念材料
2025年04月23日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日