リサーチ費用のアンバンドリングによる副作用

リサーチ情報の減少が不必要な金融危機を生み出す可能性

RSS

サマリー

◆英国を含むEU加盟国では2018年1月3日に、第2次金融商品市場指令(MiFIDⅡ)が施行された。事前の予想どおり、リサーチ費用の分離明確化(アンバンドリング)の影響は大きく、有料となることを警戒し、株式リサーチ・セールス人員への問い合わせは急減している。


◆MiFIDⅡの規制により資産運用会社は、組成したファンドやETF等の運用商品において、全ての費用・手数料およびその合計について、定期的に顧客への開示が求められている。特に年間にかかる費用が安価と思われていたETFやインデックス型ファンドでは、取引執行費用の実績などが加味されると、今までより費用・手数料が大幅に増加する。


◆株式リサーチ・セールスといった人材が整理・削減されつつある状況は、アンバンドリングを実施する当初の意図とは大きく乖離しつつある。カバレッジの減少等によるリサーチの質と量の低下は、市場での流動性低下とボラティリティ上昇という副作用を生み出すこととなる。リサーチ情報の極端な減少は、市場全体の不確実性を高め、予期せぬ金融危機を生み出す可能性すらある。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。