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ブレグジット交渉打開に向けたメイ首相の演説

交渉の切り札になるかは未知数

2017年09月26日

ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 菅野 泰夫

サマリー

◆9月22日に英国メイ首相は、イタリアのフィレンツェにて、こう着するブレグジット交渉打開に向けての演説を行った。1月17日のランカスター演説、3月29日の50条行使書簡に次いで今年3回目のメイ首相の意思表明となり、6月の総選挙で辛酸を舐めたメイ首相が、従来のハードブレグジット路線のスタンスをどれだけ軟化させたかを見極めるためにも、一語一句が注目された。


◆演説内容で最も注目されたのは、交渉がこう着状態に陥った主因といわれる「手切れ金」に関する内容であった。EU側が強固に「手切れ金」に執着する理由は、EU予算への分担金において、加盟国間で最高額の水準にある英国の離脱により、複数年編成のEU予算に大きな影響が出るためといわれている。ただ今回の演説では「手切れ金」の支払いは認めたものの、その金額については何も言及がなかった。


◆メイ首相は演説後の記者からの質問に対して、“不利な契約を結ぶくらいなら契約がない方がまし(no deal is better than a bad deal)”と過去の発言を引用し、従来の強行離脱路線に変化がないことを印象付けた。しかし“英国とEUと独自の貿易協定を締結する”などの主張に目新しさはないうえ、過去の演説と同様に具体策に乏しいと見る向きも多い。英国世論では今回のメイ首相の演説を支持しないとの意見も多く、“これだけ悪い演説ならやらない方がまし(no speech is better than a bad speech)”と発言を揶揄する声もあった。

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