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欧州経済見通し 引き続き政治が不透明要因

英国は6月8日に下院議会選挙を前倒し実施へ

2017年04月20日

経済調査部 主席研究員 山崎 加津子

サマリー

◆ユーロ圏では内需が牽引する緩やかな景気拡大が続いていると見込まれる。ここ半年の企業景況感の改善と比べると1、2月の鉱工業生産の伸びには物足りなさがあるが、新車販売は好調で個人消費は底堅く推移している。なお、2月の消費者物価上昇率が前年比+2.0%に急加速してインフレ懸念が意識されたが、これは原油価格上昇に、厳冬による食品価格上昇という一過性の押し上げ要因が加わったもので、3月は同+1.5%に減速した。賃金上昇率の加速をもたらすような労働需給の逼迫はまだ生じておらず、ECBは緩和継続がユーロ圏の持続的な景気回復と物価安定の前提条件との認識を変えていない。コアインフレ率が低水準であることに加え、欧米の政治情勢が不透明であることも、ECBが緩和政策の修正に慎重である理由となっている。


◆英国のメイ首相は4月18日に、下院を解散して6月8日に議会選挙を前倒ししたいとの意向を表明した。翌19日には要件である議会承認も得て、議会選挙の前倒し実施が急遽決まった。首相のねらいは議会における保守党の勢力拡大で、党内対立が目立つ最大野党の労働党から議席を奪取して、保守党が現有の330議席からどこまで議席数を伸ばすかが注目される。一方で、EU離脱に反対している自由民主党、スコットランド民族党なども議席を伸ばすと予想されるが、英国のEU離脱方針を覆すような勢力とはならないだろう。なお、このタイミングで解散・総選挙となった理由として、3月29日にEUに離脱を通告したものの、EU27カ国の意見調整が5月下旬までかかる見込みであることに加え、英国の景気減速の兆候が出てきたことを踏まえ、現政権への支持率が高いうちに総選挙をしてしまおうとの意向もあったと考えられる。

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