サマリー
◆6月23日の国民投票で英国はEUからの離脱(Brexit)を選択した。キャメロン首相の後任となったメイ首相の下で、英国は今後EUとの離脱交渉に臨むことになるが、この交渉がいつ始まり、いつまで続き、どのような結末を迎えるのかを判断する手がかりがほとんどないのが現状である。EUからの離脱協定が発効するまで、英国とEUの法的な関係はこれまでと変わらないのだが、今後数年単位で継続する可能性が高い「視界不良」の状態は英国経済にとってマイナス要因である。
◆英国経済はこの春ごろから景況感の悪化や建設投資の落ち込みが見られたが、Brexitが選択されたことで企業投資や雇用の手控えに加え、これまで経済成長を牽引してきた個人消費が減速に転じることが懸念される。今後の英国の成長率はマイナスに転じると見込まれる。英中銀(BOE)は7月には追加緩和を見送ったが、インフレーション・レポートを公表する8月には成長率予想を下方修正すると共に、追加緩和策を発表することになろう。
◆ユーロ圏経済に対するBrexit選択の影響も徐々に顕在化してくると予想される。英国の景気減速はユーロ圏の輸出減につながるが、これがユーロ圏企業の投資や雇用の抑制要因となるか注目される。他方でBrexitをにらんで、ロンドンのシティが担っている欧州の金融仲介機能を自国に呼び込もうとフランス、ドイツ、アイルランドなどがさっそく売り込みをかけているが、ロンドンに拠点を有する金融機関等が他国への全面的な移転を具体化させるのは、英国とEUの新しい関係が見通せるようになってからの話となろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
1-3月期ユーロ圏GDP 市場予想に反して減速
かろうじてプラス成長も、原油高の悪影響本格化の前から成長停滞
2026年05月01日
-
欧州経済見通し 進む資源高対応
財政支援と企業による価格転嫁
2026年04月21日
-
欧州経済見通し 中東情勢が下振れリスクに
エネルギー価格上昇の影響は既に顕在化、金融政策はタカ派シフト
2026年03月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
いまさら人には聞けない 大量保有報告(5%ルール)のQ&A 【改訂版】
2024年金商法等改正法(2026年5月1日適用開始)を反映
2026年04月03日
-
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
-
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
いまさら人には聞けない 大量保有報告(5%ルール)のQ&A 【改訂版】
2024年金商法等改正法(2026年5月1日適用開始)を反映
2026年04月03日
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

