岐路に立つ欧州統合

~EUのメリットとデメリットの再検証が求められる~『大和総研調査季報』 2016年4月春季号(Vol.22)掲載

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2016年06月01日

サマリー

欧州を焦土と化した全面戦争の再発を回避するために、旧西ドイツ、フランスなど欧州の6カ国が石炭と鉄鉱石という資源の共同管理で合意したのは1950年代初めのことである。その後、この結びつきは欧州経済共同体(EEC)、欧州共同体(EC)を経て欧州連合(EU)へと発展し、共通農業政策、関税同盟、域内市場の統合、共通通貨ユーロの導入へと統合深化の道を進んできた。また加盟国は28カ国に拡大した。


しかしながら、ここ数年のEUは金融危機、ユーロ圏債務危機、難民急増など様々な問題に直面し、その中で欧州の総意と思われてきた「欧州統合の深化」という理念が揺らいでいるように見受けられる。緊縮財政に対する不満、移民や難民受け入れへの反発など理由は様々だが、EUの政策に異を唱える政治勢力が各国で台頭している。そして、英国ではこの6月にEUからの離脱の是非を問う国民投票の実施が決まった。


なぜ今、反EUやEUからの離脱を求める声が高まっているのか、EUはどこへ向かおうとしているのか、EUが解決を迫られている具体的な問題を検証し、その課題を明確にしたい。


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