第三次金融支援合意後のギリシャ

支援継続の可否を判断する審査の結果とIMFの参加が今後の焦点

RSS

2016年02月09日

  • 経済調査部 研究員 新居 真紀

サマリー

◆2015年1月に反緊縮政策を掲げて発足したチプラス政権は債権団との対立を深め、6月末に第二次金融支援を打ち切られた。しかし、ギリシャがその後ユーロ圏残留のため、債権団から求められていた緊縮路線へと方針を一転したことで、8月のユーロ圏財務相会合で第三次金融支援プログラムは合意に至った。支援総額は3年間で最大860億ユーロが見込まれ、主に債務返済や銀行の資本増強、財政基盤強化等に充てられる。2015年末までに260億ユーロの支援が実施された。


◆再び支援獲得を実現したギリシャだが、第三次金融支援合意に至るまでの内政の混乱は国民や債権国、国際社会からの信頼を損なっただけでなく、ギリシャの景気回復を遅らせることにもつながった。足元のギリシャ経済も冴えない状況にある。


◆ギリシャ経済は未だ脆弱で、景気回復への道筋も不明瞭な状況下、債権団からの支援は引き続き重要な役割を担うことになるだろう。今後焦点となるのは、次の2点である。一つは、第三次金融支援の継続の可否を判断するために現在進行中であるEUの審査を通過できるかどうかということである。またもう一つは、支援が継続された場合にIMFがその支援に加わるかどうかである。債務削減の実現可能性や年金改革の実効性等がそれらの鍵となるだろう。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。