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ギリシャ救済は喜劇か悲劇か?

第3次支援プログラムが大筋合意 ギリシャ情勢の今後の見通し

2015年08月12日

ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 菅野 泰夫

サマリー

◆2015年8月11日、欧州委員会の報道官は記者会見の場で、ギリシャへの金融支援(第3次支援プログラム)を巡る交渉がギリシャと債権団側にて大筋で合意したことを発表した。最終的には8月13日までにギリシャ議会の承認を経て、8月14日の臨時のユーロ圏財務相会合にて支援が正式合意する見込みである。


◆大筋合意に先立ち、7月16日に欧州委員会は、第3次支援プログラム開始までのつなぎ融資として、ギリシャへの最大71.6億ユーロとなる短期金融支援を欧州金融安定メカニズム(EFSM)から拠出している。ただし、EFSMをつなぎ融資で利用することに対し、英国を中心とする非ユーロ圏から強固な反対意見が根強い。


◆トロイカの一角を占めるIMFは、債務減免の主張が通らなければ最終的に第3次支援プログラムからは外れる意向をちらつかせていた。IMFのラガルド専務理事は、ギリシャへの債務減免を再三求めており、合理的な債務再編が行われる場合にのみ同プログラムに参加すると明言していたため、最終的にどのような融資条件で合意されたかが注目される。


◆確かに、現時点でのギリシャの財政状況を見ると、多額の融資を再度実行しても債務返済が順調に実施できる可能性は限りなくゼロに近い。そもそもギリシャはユーロ導入以降、高止まりする物価や改善されない生産性により輸出競争力が低下、経常収支の赤字基調は継続し政府債務残高は高止まりしている。ギリシャ経済にドイツ経済と同じ生産性の向上を求めることは不可能であり、物価や賃金が下方硬直的な状態のままでの無理な緊縮策はいずれ何処かで行き詰まることを予見させる。既にユーロ離脱のタイミングを逸したギリシャが、単なる債務返済を行うだけの国として存在することにならぬよう願うばかりである。

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