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国民投票後のギリシャのユーロ離脱シナリオ

必要なのは緊縮財政よりも債務減免。ギリシャ情勢の今後の見通し

2015年07月03日

ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 菅野 泰夫

サマリー

◆今後のギリシャ情勢で注目すべきは、国民投票以降の国内の動向であろう。今回の国民投票では、ユーログループが第2次金融支援プログラムの継続条件として示した(緊縮策続行の)改革案の受け入れの賛否が問われる。


◆改革案受け入れ“No”が支持されると、自動的に債権団の支援延長を拒否することになり、結果的に国外への資本逃避がさらに加速する。これを抑制するためにも、ギリシャ政府は国民投票後すぐにでも銀行預金を凍結し、対外債務の支払いを停止することが必要となる。これは自ら債務不履行(デフォルト)を宣言することと同義となり、ギリシャの真のデフォルトはこの瞬間となることが想定される。


◆頑なに債務減免(ヘアカット)に応じない債権団に対して改革案を受け入れ(Yes)、ユーロ圏に残留したとしても厳しい未来が待っている。多額の債務の前に続く無期限の資本規制、債務減免の引き換えに債権団主導の銀行再編など過酷な条件が突きつけられる追加支援が実行されたとしても、共通通貨ユーロの構造上の問題点が変わらなければ、数年後に同じ問題を引き起こす可能性は極めて高い。即ち、ユーロ圏から強制的に締め出されるリスクは残り続けることとなる。


◆ギリシャへのIMFの対応のまずさを指摘する声も高まっている。7月2日にIMFから公表されたギリシャ債務に対する報告書では、IMFは従来からギリシャの債務返済は不可能であることを認識しており、今後3年の間に破綻を回避するためには、少なくとも500億ユーロ相当の債務減免が必要となる内容を示した。今回の報告書で想定された債務減免額に対しても、納税者の反対を恐れるユーロ圏の各国首脳が抵抗することは想像に難くない。そうなると、(たとえ国民投票で“Yes”が選択されたとしても)、7月以降に期待されている第3次支援プログラムなどは最初から合意できる訳がなく“絵に描いた餅”である可能性が高いといえよう。

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