サマリー
◆2015年5月11日、ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)がベルギーの首都ブリュッセルで開催され、ギリシャへの第2次支援プログラム(2012年2月合意)の最終合意について前回会合(4月24日)に続き協議が行われた。ユーログループ側は、前回協議からの進展は評価したものの、年金や労働市場改革において詳細案が不十分と判断、結果的に最終合意には至らず、72億ユーロの融資実行はまたもや延期された。
◆ただしEU側も認めているようにギリシャの資金繰りに当面問題は無く、実際の資金が底をつくまでにはもう少し時間的猶予が残されているといえる。そのため、チプラス政権は未だ有権者に対して反緊縮の政権公約は反故にしないなどと述べ、強気の姿勢を崩していない。先が見えない状況に対して残された手段は国民投票にてEU離脱をギリシャ自らが問う必要があるとの指摘も多い。
◆会合後の会見でバルフォキス財務相は「現時点では国民投票の可能性は考えていない」と表明、Grexitに対する市場の不安を打ち消すのに躍起となっていた。一方、ドイツのショイブレ財務相は会合に先立ち「むしろギリシャには国民投票を実施させ(ユーロに残るために)必要なことを自ら判断させることも適切であろう」と、要求を飲まなければユーロ離脱容認を示唆している。ドイツ高官からのギリシャユーロ離脱容認とも取れる姿勢も重なり、Grexitのリスクがまた一歩近づいている。
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