サマリー
◆10月2日、欧州中央銀行 (ECB) は定例の理事会を開き、政策金利である主要オペ金利を0.05%に据え置く決定をした。また同様に、上限政策金利である限界貸出金利および下限金利である中央銀行預金金利をそれぞれ0.3%、マイナス0.2%と据え置いている。
◆前回(9月4日)の定例理事会で決定されていた、資産担保証券(ABS)とカバードボンドの資産買い取りプログラムの追加内容も発表した。“何を”、“いつ(まで)”、“どれだけ”買い取るかが注目されたが、開始時期を明示しただけで、具体的な買い取り金額は発表されず、シティでは期待外れとの評価が先行した。
◆今回のABSプログラムでは、単一発行証券の7割まで投資可能(ギリシャ、キプロスは3割)とされたため、買い取りにより投資対象の流動性が極端に低くなる可能性が高い。ECBは、事実上、池の中のクジラとなり、一旦、クレジットクランチが起こった際には、大幅な損失を被る可能性もある。
◆ギリシャ、キプロスも投資対象に含めたことで、ユーロ存続に手段を選ばないドラギ総裁の決意を感じる一方、(投資対象が限定されない)ブラインドプールでかつ低格付けのストラクチャード投資に踏み切るECBの姿は、ディストレス投資家そのものである。
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