スコットランドの独立は秒読みか?

独立しなくとも通貨ポンドと金融市場への影響は大きい

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2014年09月09日

サマリー

◆英国の北部に位置するスコットランドは、人口は約530万人(英国全体の8.3%、2012年時点)、首都はエジンバラに置かれている。そのスコットランドが、2014年9月18日に、独立の是非を問う住民投票を行う予定であり、現在、全英が注目している。


◆スコットランド独立にあたり、英国政府と交渉すべき事項として、①金融およびその他の資産と負債の分割(北海油田からの石油収益金、その他税収の割当、軍事基地や海外資産を含む)、②通貨ポンドの継続的な利用、③英国議会がこれまで留保してきた権限の委譲、④スコットランド、イングランド、ウェールズおよび北アイルランドがそれぞれ担っている協力措置などを挙げている。


◆独立に関するWhatScotlandThinks.orgの世論調査の結果をみても、反対48%、賛成42%、分からない10%と、反対派が依然リードしていることには変わりはない。この結果だけを見ると、反対派が勝利すると思われがちであるが、独立に賛成している生粋のスコットランド人以外の有権者が本当に投票所に行くか不透明である点なども考慮すれば、やや賛成派に分がある印象も受ける。


◆スコットランドにおける金融セクターの規模は非常に大きく、金融セクターの資産はスコットランドのGDP対比で1250%に相当すると言われている。独立にあたり英国の規制枠組みから外れることになれば、(金融危機が再来した際に)スコットランドの納税者にとっては著しいリスク要因となる可能性が高い。また、たとえ独立しなくとも多くの権限が英国議会からスコットランドに委譲されることは約束されており、通貨ポンドや英国金融市場への影響が大きいことも予想される。

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