サマリー
◆ユーロ圏の4-6月期成長率は前期比横ばいで、過去1年続いた景気持ち直しの動きが中断してしまった。加盟国別ではドイツが同-0.2%と予想以上に落ち込んだことが目を引く。輸出が伸び悩み、投資が縮小したことが原因とされる。
◆ドイツ経済は7-9月期は持ち直すと予想するが、最近の製造業受注や企業景況感などの景気先行指標は軟調で、従来予想より低成長を余儀なくされよう。輸出回復が遅れていたところに、地政学的リスクが台頭し、ロシアとの経済制裁の応酬がエスカレートする懸念が高まったことが景況感悪化をもたらした。ただ、米国・英国・中国向け輸出に加速の兆しがみられ、また消費者マインドは強気水準にあるなど悪材料ばかりではない。ユーロ圏の2014年の成長率を前回予想の+1.0%から+0.8%へ、2015年を同+1.4%から+1.2%へ下方修正したが、景気回復の腰折れとはみていない。
◆ユーロ圏の弱いGDP統計発表と低インフレ(7月の消費者物価上昇率は前年比+0.4%)を受けて、景気てこ入れとデフレ回避を目的とした大規模な国債買取への期待が改めて高まっている。しかしながら、ECB(欧州中央銀行)は6月に発表したTLTRO(企業向け貸出増を意図した長期オペ)を9月と12月に実施することを優先しよう。年末までに景気が持ち直さず、物価が一段と低下した場合、追加緩和に踏み切ると予想する。
◆英国の4-6月期成長率は前期比+0.8%と高成長が続いた。失業率が低下傾向にあり、住宅建設投資が好調なため、今後も消費と投資が牽引する景気回復が続こう。2014年の成長率を前回予想の+2.9%から+3.1%へ、2015年を同+2.3%から+2.5%へ上方修正する。内需好調にもかかわらず、物価上昇圧力は今のところ限定的である。英中銀(BOE)は8月のインフレーション・レポートでその原因は平均賃金上昇率が抑制されているためとし、同指数を今後の注目指標とした。金融市場は利上げ開始時期が先送りされると受け止め、長短金利は急低下したが、実はBOEも英国の景気の強さと、賃金上昇率の低さの乖離をどう判断するべきか迷っていると見受けられる。今後の景気、インフレ指標を総合的に判断して利上げ開始時期が決定されることになるだろう。
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