サマリー
◆5月中旬にドイツとベルギーに出張する機会を得た。ユーロ圏危機の最悪期を脱しつつある欧州で、景気回復の持続力をどう判断しているかを現地で聞いたところ、ドイツの内需回復を牽引役とする緩やかな景気回復が予想されていた。ただ、国ごとの相違は依然として大きく、特にフランスとイタリアの動向が懸念されていた。なお、ユーロ高などで低インフレが長期化することへの懸念に対しては、ECB(欧州中央銀行)が予告通り何らかの追加緩和策を講じるだろうとの見方が多かった。
◆まだ改善が見られない高失業問題に加え、所得格差拡大や貧困といった問題に対処するためにも、欧州の成長力を高めることが重要との認識が共有されていた。成長戦略として議論されているイノベーション促進、デジタル化推進、人材育成のために教育を重視、規制緩和と税負担軽減、EU単一市場の有効活用、TTIP(EUと米国間のFTA)推進などは以前から指摘されており、目新しさはない。ただ、欧州の業界団体のアンケート調査では、政策方針は正しいが、その実行が不十分と判定されており、これを改めて推進するべきであるとの意見であった。
◆2014年のEUでは5月の欧州議会選挙に続いて、欧州委員会委員長と委員会メンバーの交代が秋に行われる。立法府と行政機関トップの新体制が稼働するのは2015年になってからと予想され、それまで新しいEU法の提案・審議は行われないであろう。ただ、ユーロ圏危機への緊急対応の必要性が大幅に低下している中で、その次の課題は何か、その課題にどう対応するかを議論する動きが業界団体、シンクタンクなどさまざまな場で始まりつつあると見受けられる。
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