サマリー
◆ユーロ圏の1-3月期のGDP成長率は10-12月期と同じ前期比+0.2%と発表された。これで4四半期連続のプラス成長となるが、ごく緩やかな成長にとどまっている。加盟各国の成長率はドイツ、スペインは予想を上振れしたが、フランス、イタリアは予想を下振れし、明暗が分かれた。フランスとイタリアは以前から構造改革の必要性が指摘されながら、その実行が遅れている国々である。5月22-25日の欧州議会選挙の終了後、構造改革着手に舵を切れるか両国政府は正念場を迎えると見込まれる。
◆ユーロ圏の低成長と低インフレの継続を受けて、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は6月5日の金融政策理事会で追加緩和に踏み切ると予想される。民間企業への貸出促進を目指して複数の対策が組み合わせられる可能性が高いだろう。政策金利を0.25%から0.15%へ引き下げ、さらに中央銀行預金金利を-0.1%と初めてマイナス金利にすると予想する。また、企業向け貸出に使途を限定した長期オペ(LTRO)が導入され、将来の資産買い取りプログラムの対象とすることを明示して、資産担保証券(ABS)の市場整備計画の詳細が発表されるとみている。加えて、主要オペ(MRO)の「無制限、固定金利」という緩和条件の適用期間を、これまでの「少なくとも2015年7月初めまで」から「少なくとも2016年1月初めまで」へ延長すると予想される。
◆英国の1-3月期のGDP成長率は前期比+0.8%となり、ここ1年しっかりとした成長が続いていることを確認した。住宅市場の再活性化を背景に、個人消費と住宅建設投資が牽引役となったと見受けられる。雇用改善が進む一方、賃金上昇率は抑制されており、輸入物価低下も加わってインフレ懸念は顕在化していない。英中銀(BOE)は最新のインフレーション・レポートで英国経済の需給ギャップはさほど縮小していないとの判断を示し、金融緩和政策の変更を急いでいないことを示唆している。住宅市場の過熱懸念には住宅ローン奨励策の制限などで対応し、金融政策の方針転換は2015年の課題となるとの予想を据え置く。
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