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住宅バブルが続く欧州とその背景

ウクライナのEU加盟はさらなる住宅価格の上昇を誘発するのか

2014年03月18日

ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 菅野 泰夫

サマリー

◆欧州では昨年から住宅価格の高騰が継続しており、英国およびドイツの住宅価格指数は、リーマン・ショック以前の高値を超え、過去最高を更新している。ロンドンやジュネーブなど一部の都市では、足許、各国全体のインデックスを大きく超えた上昇幅も記録しており、住宅バブルの様相も呈している。


◆2月9日にスイスの国民投票にて、移民受け入れに上限を設ける案が50.3%と僅差で可決されたことは、重要な事実として認識すべきであろう。多くの欧州の若者は、住宅価格の高騰により家の購入を諦めざるを得ず、移民の増加による賃金の押し下げ圧力に大きな不満を抱えている。仮に今回の政変があったウクライナがEUに加盟し、EUの労働市場が開放されたとき、さらなる住宅価格の上昇を招くことは容易に想像できる。


◆英国では、わずかな頭金で持ち家購入を可能とする、英国政府の住宅購入支援策である持ち家購入スキーム(Help to buy scheme)が住宅バブルを引き起こしているといわれている。特にその実施第2弾である住宅ローン保証 (Mortgage Guarantee) スキームは、2014年以降、さらなる住宅価格の高騰を引き起こす要因になるとの観測が絶えない。


◆英国中央銀行(BOE)のカーニー総裁は、持ち家購入支援スキームが住宅バブルを引き起こしている直接的な原因とは認めてはいない。ただし貸手である英国の金融機関の間では、同スキームに対しての懸念は大きいようだ。欧州の住宅市場の価格高騰は、単なる投機マネーの流入のほかに、移民政策や住宅購入支援政策等が密接に絡みあうため、多面的な分析が必要となるであろう。

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