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欧州経済見通し 強いドイツ、弱いフランス

金融市場の波乱要因に注意

2014年01月20日

経済調査部 主席研究員 山崎 加津子

サマリー

◆ユーロ圏では企業と消費者の景況感が改善している一方、それが実体経済上の数値の回復になかなか反映されない状態が半年近く続いていたが、11月の鉱工業生産と小売売上高は前月比で大きく伸び、前年比でもプラスの伸びを回復した。続く12月の景況感も総じて改善傾向にあり、2014年のユーロ圏が緩やかな景気持ち直しを続けるとの予想を支持する動きとなっている。2014年のGDP成長率は+0.9%とプラスに転じよう。


◆各国の経済成長率には依然としてばらつきが大きく、2014年は強いドイツと弱いフランスの対比が際立つことが予想される。フランスのオランド大統領は、2014年初めにドイツが行ってきたような企業の税・社会保障負担を軽減し、歳出を削減することで経済力を高める方針を打ち出してきたが、これをどのような形で遂行できるのかまだまだ不透明である。


◆2013年12月にEUとIMFの財政支援から「卒業」することを宣言したアイルランドが、1月に発行した国債には国外から旺盛な需要がみられた。同国のみならず、ユーロ圏の財政懸念国に分類されてきた国々の国債利回りは低下傾向にあり、これが財政再建を助ける好循環となっている。ただ、2014年には銀行の資産査定とストレステストが実施され、中堅銀行の中には公的資本による資本増強が必要な銀行が出てくると予想される。また、ギリシャは追加財政支援が必要になるとの観測がくすぶっている。このようなイベントが国債市場のマインドを悪化させる可能性があり、過度な楽観は禁物であろう。


◆英国経済は2013年のGDP統計が上方修正され、また12月の小売売上も好調だったことから、2013年は+1.8%成長と従来予想の+1.4%を大きく上回ったと推測される。2014年も個人消費主導で+2.1%の成長を見込んでいるが、これは2013年に伸び悩みがみられた賃金上昇率が緩やかに改善することが条件となる。就業者数が順調に増加しているにもかかわらず、2013年の賃金上昇率は伸び悩んだ。他方で12月の消費者物価上昇率は+2.0%まで低下し、また輸入物価も低下傾向にあるため、物価動向はしばらくBOE(英中銀)の金融緩和政策の阻害要因とはならないと見込まれる。

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