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厳しすぎたバーゼル規制に緩和の流れ

レバレッジ比率規制の緩和は、ストレステストの発表を控えた欧銀にとってややポジティブ

2014年01月20日

ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 菅野 泰夫

サマリー

◆1月12日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、上位機関である中央銀行総裁・銀行監督当局長官グル—プ(GHOS)の合意を受け、銀行のレバレッジ比率規制の算出基準を緩和する報告書を発表した。今回の報告書は、レバレッジ比率のエクスポージャー額(分母)を修正する内容となっており、実質的に厳しすぎたレバレッジ比率規制を緩和する方向性が示唆された。


◆一連の修正の中で、レポ取引等の証券金融取引(SFT)、デリバティブ取引に関して、特定の条件を満たせば、一部ネッティングが許容されたことが特筆すべき点であろう。今回の緩和の決定に対しては、これまで(短期流動性資産等でバランスシートを調整するなど)経済実態上無意味な対応に翻弄されていた銀行関係者にとってようやく収束の糸口が見えた格好だ。


◆とりわけ今回の緩和の背景には、ECBによる銀行監督の一元化に向けた、ストレステストを含む包括的審査の追加情報の公表を1月末に控えた中で、欧銀への余計なプレッシャー(デレバレッジの圧力)を回避したいGHOS(BCBS)の一定の配慮も見え隠れする。(発表直後の)13日以降、欧銀セクターの株価は上昇し、2011年以来、約3年振りの高値水準を推移している。


◆すでにシティでは、普通株式等Tier1比率という従来の規制資本への信頼は低下しつつあり、今後は、レバレッジ比率および、今回、同時に緩和の方向性が示された流動性規制が、銀行の健全性を測る指標として優勢との指摘が絶えない。無論、現段階において、多くの欧銀にとってレバレッジ比率上の資本が十分に確保されている訳でなく、過剰流動性が日々縮小する欧州金融市場にとって、今後も規制対策には予断を許さない状況といえる。最終的な数値目標も3%から更なる引き上げの可能性も残されているため、当面、各行は新しい銀行規制への対応を急ぐ必要があることには変わりないといえよう。

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