サマリー
◆1月12日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、上位機関である中央銀行総裁・銀行監督当局長官グル—プ(GHOS)の合意を受け、銀行のレバレッジ比率規制の算出基準を緩和する報告書を発表した。今回の報告書は、レバレッジ比率のエクスポージャー額(分母)を修正する内容となっており、実質的に厳しすぎたレバレッジ比率規制を緩和する方向性が示唆された。
◆一連の修正の中で、レポ取引等の証券金融取引(SFT)、デリバティブ取引に関して、特定の条件を満たせば、一部ネッティングが許容されたことが特筆すべき点であろう。今回の緩和の決定に対しては、これまで(短期流動性資産等でバランスシートを調整するなど)経済実態上無意味な対応に翻弄されていた銀行関係者にとってようやく収束の糸口が見えた格好だ。
◆とりわけ今回の緩和の背景には、ECBによる銀行監督の一元化に向けた、ストレステストを含む包括的審査の追加情報の公表を1月末に控えた中で、欧銀への余計なプレッシャー(デレバレッジの圧力)を回避したいGHOS(BCBS)の一定の配慮も見え隠れする。(発表直後の)13日以降、欧銀セクターの株価は上昇し、2011年以来、約3年振りの高値水準を推移している。
◆すでにシティでは、普通株式等Tier1比率という従来の規制資本への信頼は低下しつつあり、今後は、レバレッジ比率および、今回、同時に緩和の方向性が示された流動性規制が、銀行の健全性を測る指標として優勢との指摘が絶えない。無論、現段階において、多くの欧銀にとってレバレッジ比率上の資本が十分に確保されている訳でなく、過剰流動性が日々縮小する欧州金融市場にとって、今後も規制対策には予断を許さない状況といえる。最終的な数値目標も3%から更なる引き上げの可能性も残されているため、当面、各行は新しい銀行規制への対応を急ぐ必要があることには変わりないといえよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 関税議論が一段落
米国による対EUの追加関税率は15%で決着
2025年08月22日
-
4-6月期ユーロ圏GDP かろうじてプラス成長
ドイツ、イタリアがマイナス成長転換も、好調スペインが下支え
2025年07月31日
-
ドイツ経済低迷の背景と、低迷脱却に向けた政策転換
『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日